URLには、「リダイレクト」と呼ばれるリンクがあります。WEB担当者の中には、言葉自体は聞いたことがあっても、仕組みや使い方までは分からないという方もいるでしょう。
そこでこの記事では、
- どんな機能なのか
- どんなメリットがあるのか
- 種類について
- 設定方法や注意点
について解説していきます。この記事を読めば、リダイレクトについて理解できるので、より効果的なサイトにしていくことができます。サイト運用に携わっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
リダイレクトとは?
リダイレクトとは、あるページでURLが変わった際、古いURLからでも新しいURLへ遷移できるよう転送してくれる機能のことです。これまでサイトを利用していて、「自動的にあるページへ遷移した」という経験はないでしょうか?この現象はリダイレクトによるものです。
この機能は様々なシーンで利用されていて、WEBサイトはもちろん、アプリからWEBサイトに遷移させる場合にも利用されます。
では、どのような理由で必要とされ、どんな時に利用されるのでしょうか。ここからは、理由や必要な場面について解説します。
リダイレクトが用いられる理由
多くのWEBサイトで用いられる理由は、ユーザビリティを向上させるためです。例えば、ユーザーによってはお気に入りのページを登録していることもあるでしょう。ただ、登録しているURLは運用状況によって変わる場合もあります。もし何も設定していなければ、想定していたページにたどり着かず、ユーザーは困ってしまいます。
このように、URLの変更が合った場合に行うことで、自社サイトから離脱してしまうのを防ぎます。その結果、サイトの改修などを行っても使いやすさを損なわずに済むのです。
リダイレクトを用いる場面
様々な場面で用いられますが、大きく分けると4つの場面があります。
①サイトリニューアルを行う場合
サイトでリニューアルが行われた場合は、必ずと言ってもいいほど利用されます。具体的な例はいくつかあります。
- サイトのドメインが変わる
- サイトのURLに「www」を採用する
- 「http」から「https」になる
基本的に、URLは1文字でも異なっていれば別のページだと認識されます。ただ、運営者やユーザーにとっては同じページでなくてはなりません。
そこで、リダイレクトを用いて特定のページへと遷移させることで、以前のURLからアクセスした場合でもサイトに誘導できるようになります。
②メンテナンスを行う場合
システムを伴うメンテナンスを行う場合もよく用いられています。予告をしていたとしてもメンテナンスが行われていることを知らないユーザーは多数存在します。そこで「現在メンテナンス中です」などと呼びかけるページを一時的に表示させることで、ユーザーが理解しやすくなるのです。
③PCとスマホでURLを分けている場合
PCサイトとスマホサイトでURLを分けている場合も利用されます。最近ではレスポンシブを意識したサイトが多く、PCとスマホのそれぞれの画面サイズに合わせてWEBサイトを表示させることが一般的になりました。
そこでPCサイトとスマホサイトでファイルを2種類制作し、デバイスごとに出しわける場合があります。デバイスごとに適したページを表示させることで、見やすくなるのです。
④ユーザーがリンクを貼る場合
ユーザーがリンクを貼っている場合に用いられることもあります。例えば掲示板など、ユーザーが自由に書き込めるサイトであれば、様々なリンクが掲載されます。
本来であれば、ユーザー同士が交流できるように利用するべきなのですが、中には悪質なリンクを設置するユーザーもいます。そんなリンクが設置されてしまうと、ユーザーが快適にサイトを利用できなくなります。
そこで、サイトによってはそのまま遷移させるのではなく、リダイレクトを行い「警告」としてワンクッション挟みます。ページをかませることで、「本当にこのページに遷移しても大丈夫なのか?」と考えさせることができるのです。
リダイレクトのメリット
WEBサイトで利用するメリットは、大きく2つあります。
①正しいページに遷移できる
リダイレクトにより、正しいページに遷移できます。例えばあるサイトが自社サイトのリンクを貼っていたとします。そのリンクが古くなっても、リダイレクトしていればしっかり正しいページに誘導できるのです。
こうした対応は、結果的にユーザビリティを高めます。ユーザーに離脱されずアクセスを集めるために必要なことです。
②SEOの評価を引き継げる
SEOの評価を引き継ぐことができるのも大きなメリットです。Googleでは運用期間が長いサイトの方が評価されます。そこでリニューアルによってURLが新しくなると、評価がリセットされてしまうのです。
今まで積み上げてきたものを捨ててしまうのはもったいないです。こうした理由から、サイトのパフォーマンスを最大限発揮させるために用いられます。
リダイレクトの種類
リダイレクトには「301リダイレクト」と「302リダイレクト」の2種類があります。
種類 | 301リダイレクト | 302リダイレクト |
特徴 | 持続的にURLを遷移させる | 一定期間のみURLを変更させる |
利用シーン | サイトリニューアル | キャンペーン メンテナンス |
index | 新しいURL | 古いURL |
以下では、それぞれの特徴について説明します。
301リダイレクト
持続的にURLを遷移させる場合に利用される方法です。言い方を変えると、以前のURLに戻す必要がないとも言えます。
例えばサイトをリニューアルする場合、URLが変わることもあります。一般的にURLが変更されると別のサイトとして認識されるので、それに伴って検索エンジンからの評価もリセットされます。
ただ、サイト運営者にとっては、これまで積み上げてきたサイトの評価をゼロに戻したくはありません。そこで、このような手法で評価を継続させます。
こうした特徴から、301リダイレクトはサイトのリニューアルなど、URLを永久的に変更するものの評価は維持したい場合に利用されます。
302リダイレクト
一定期間だけURLを変更させる場合に用いられる方法です。この方法を用いると、最終的には元のURLに戻ると認識されるので、検索結果には元のURLが表示されます。こうした特徴から、検索結果への影響は少ないと考えるのが一般的です。
例えば、キャンペーンを行う場合や、一定期間メンテナンスを行う場合などに利用されます。
ただし、「一定期間」を拡大解釈していつまでも元のURLに戻さないなどといったことは避けるべきです。場合によっては、検索結果に新しい方のURLが掲載される可能性があります。
リダイレクトの設定方法・注意点
設定方法には、サーバーで処理を行う方法と、ブラウザで処理を行う方法の大きく分けて2つあります。それぞれに対する具体的な方法は、以下の通りです。
①サーバーで処理を行う方法
- phpを記述する場合
- htaccessファイルを使用する場合
- ワードプレスを利用する場合
②ブラウザで処理を行う方法
- Meta refreshを利用する場合
- JavaScriptを利用する場合
ここからは、それぞれの設定方法について解説します。また、注意点についても解説するので、必ず確認しておきましょう。
phpを記述する場合
分岐が複数にわたる場合は、phpによって記述されることがあります。そもそもphpとはスクリプト言語の一つで、動的なページを作成することができます。phpはユーザーのアクセス後に表示内容を変更するといった動きを伴った表示ができるので、リダイレクトに利用されることもあります。
ただし、phpの場合はサイト内で使用したリダイレクトを一元管理できないという欠点があります。
. htaccessファイルを使用する場合
. htaccessファイルを使うこともできます。. htaccessは「ドット・エイチ・ティ・アクセス」と読み、「アパッチ」(Apache)というWebサーバソフトウェアで利用できるファイルのことです。
このファイルに、特定のページへ遷移するよう書き込みます。そしてファイルをサーバーに置くと、ユーザーがアクセスしたタイミングで遷移してくれるのです。
. htaccessファイルを使用する際の注意点は2つあります。
①Apacheが利用されてるサーバーであること
. htaccessファイルを利用する場合は、Apacheを使ったサーバーでなければなりません。そのため、あらかじめサーバーの種類を確認しておきましょう。
②サーバーへのアクセス権限があること
. htaccessファイルはサーバーで処理を行うため、そもそもサーバーへアクセスできなければ使えません。権限がない場合は、別の方法にしましょう。
ワードプレスを利用する場合
ワードプレスのプラグインを用いて設定することも可能です。ワードプレスのプラグインならプログラミングの知識がなくても大丈夫なので、初心者の方でも利用できます。
出典:Redirection
例えば、ワードプレスには「Redirection」というプラグインがあります。こちらのプラグインをインストールし、セットアップします。その後、設定画面から新しいURLと古いURLを入力し、ボタンを押せば設定が完了します。
ワードプレスを用いてサイト運用している方は、ぜひ試してみてください。
JavaScriptを利用する場合
JavaScriptを用いることで、ブラウザ上で処理を行うことができます。そのため、サーバーへのアクセス権限がない場合など、サーバーで処理が行えない時に利用されることが多いです。
ただし、ブラウザによってはJavaScriptを無効化していることがあります。その場合、に似のページに遷移させることはできません。
Meta refreshを利用する場合
Meta refreshを使っても、ブラウザで処理することができます。Meta refreshとはHTMLタグの一つで、任意のサイトに飛ばすことができる機能です。
Meta refreshの特徴は、ページ遷移にかかる時間を数秒間を指定できることです。また、テキストを表示させることも可能なのでユーザーに安心感を与えられます。
ただし、GoogleではMeta refreshの使用を薦めていません。その理由は、性質上サイトの評価を遷移先に引き継ぐことができないからです。そのため、SEO対策を優先したい場合には利用しない方が良いでしょう。
リダイレクト時の注意点
注意点は大きく分けて2つあります。
①リダイレクトの種類を使い分ける
1つは種類ごとに使い分けることです。設定方法によってアクセス権限が必要だったり、新しいURLが検索結果に記載されたりと異なるので、目的ごとに合わせる必要があります。
特に、SEOの観点から考えると、本来であればURLは変えない方がいいです。ただリニューアルなどやむを得ない場合は、なるべくサーバーで処理する方法を採用しましょう。Googleの関係者も、サーバー処理でのリダイレクトならページの評価に影響しないと発言しています。
②削除ページを301リダイレクトをしない
サイト運用に伴って削除するページを、301リダイレクトにしないよう注意しましょう。サイトによっては、削除ページのURLからトップページに飛ばし、アクセスを集めることがあります。
ただ、こうした処理は最近では「ソフト404」と呼ばれていて、Googleは注意喚起しています。その理由は、本来表示するべきページとは違うページを表示することは、ユーザーフレンドリーではないからです。そのため、この場合はSEOには繋がらないので気を付けてください。
まとめ
この記事では、リダイレクトについて解説していきました。サイトをリニューアルする際やURLが変わる際に使うことで、正しいページにユーザーを誘導することができます。その結果ユーザーが安心してサイトを利用できるようになります。
こうした特徴から、サイト運用を行う担当者は必ず知っておかなければならない機能です。ただし、設定方法はいくつかあり、シチュエーションや優先事項によって選ぶべき方法は異なります。違いを理解することで、最適な方法を見つけられるでしょう。
これからサイト運用に活用していきたいと考えている方は、ぜひ今回ご紹介した方法を試してみてください。