マーケティングのいち手段として注目され始めた「オウンドメディア」。
本記事では
- オウンドメディアがマーケティングにおいて重要な理由
- オウンドメディアマーケティングとコンテンツマーケティングの違い
- オウンドメディアを使ったマーケティングの注意点
について解説していきます。
今までマーケティング面でオウンドメディアに注目していなかった人にも分かりやすくなっているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
「オウンドメディアって何?」という人は、先にこちらの記事を読んでおくのがおすすめです。
目次
オウンドメディアがマーケティングにおいて重要な5つの理由
「マーケティングにおいてオウンドメディアが重要」と言っても、なぜ重要なのでしょうか。
そこには、以下の5つの理由があります。
1.長期的な会社の資産になる
まず、重要な理由として「オウンドメディアは半永久的な会社の資産になる」というものがあります。
オウンドメディア内のコンテンツは、長期間で運用するほど資産として積み上がっていき、情報が古くならない限り見られつづけられます。
時間をかけるほど楽になるため、マーケティング施策として効果が大きいです。
2.自社でのコントロールが可能
オウンドメディアの「オウンド(owned)」は「所有している」を意味していて、デザインやコンテンツの発信の仕方などを、自社で自由にコントロール可能です。
結果に対してすぐに変化をつけることもでき、時期を見てコンテンツを公開したり、反応が悪ければ取り消したりすることができます。
3.ユーザーがファン化しやすい
他のメディアに比べて「ユーザーがファン化しやすい」という点もマーケティングにおいて重要な理由です。
多くの人の目に触れる可能性が高いのはペイドメディア(テレビ広告 など)ですが、ファン化という目線で見たときに相性が良いのはオウンドメディアです。
オウンドメディアは、自社の商品の対象になりそうなユーザーに向けてコンテンツを発信します。
何らかの解決策を求めるユーザーが集まるので、そのニーズに沿って適切な解決策が提示できれば、商品だけでなく企業自体のファンになってもらえます。
4.広告費の適正化が図れる
「広告費の適正化」という点においても、オウンドメディアは効果があります。
マーケティングのみならず、企業において「限られた予算から適正な金額を適切な場所に配分する」ことが大切です。
広告は、商品や企業について広く知ってもらうために効果的ですが、売り上げにつながるかどうかは分かりません。
オウンドメディアを使うことで、購入の意欲がありそうなユーザーを集められ、売り上げにつながりそうな層にだけ情報を届けられます。
よって、オウンドメディアで届かなさそうな層に届けるために広告費を使うだけですみ、無駄な広告費を削減できます。
5.競合他社と差別化できる
「オウンドメディアはマーケティングにとって重要なツール」といっても、オウンドメディアを運用している企業はまだ多くありません。
競合他社が開始していない、または検索で上位表示されていない内に自社オウンドメディアを始めることができれば、市場を独占できる可能性があります。
自社のオウンドメディアのコンテンツが上位表示されていれば、ユーザーが検索した時に第一に検討する可能性が高く、コンテンツの質が良ければ受注につながります。
オウンドメディアマーケティングとコンテンツマーケティングの違い
「オウンドメディアマーケティング」と同じような言葉として、「コンテンツマーケティング」が挙げられることがあります。
簡単に言えば、コンテンツマーケティングはオウンドメディアマーケティングの一部です。
しかし、上記の2つは「売上とかかる費用の規模」「結果が出る時間」「戦略をデザインできる幅」という部分で異なっています。
オウンドメディアを「スーパーマーケット」、コンテンツを「肉売り場や魚売り場といったコーナー」のように想像してもらえれば分かりやすいと思うので、下記ではその例えを使って説明していきます。
かかる費用と売上の規模
コンテンツを作成する際は、外注するにしても、画像のデザイナーやライター/ディレクターへ支払う費用のみで済みます。
しかし、オウンドメディアを作る際は、メディア自体の作成費など外側を作る経費がプラスしてかかります。
スーパーを作るためには、コーナーを含めた工事費や必要な備品の購入費がかかりますが、コーナーを作るためには、そこまでの費用がかかりません。
売上面で見ても「各コンテンツでの売上を総合したもの+オウンドメディアのホームなどで得られる売上(広告掲載費や自社販売サイトで得られる売上 など)」がオウンドメディアの売上になります。
結果が出る期間
コンテンツが評価されるのは3ヶ月〜半年くらいですが、オウンドメディアはコンテンツの積み上げによって成果をあげるので、より長い時間がかかります。
例えば、スーパーの魚売り場や肉売り場で少し売り方を変えてみたら、数ヶ月後には売り場単体での売上が大きく変わっていたということはあり得ます。
しかし、スーパー全体としての変化は微々たるものであり、目標の売上アップが達成できるのはしばらく時間がかかりますよね。
オウンドメディアは、大体50〜100コンテンツを積み上げることで評価され始めるとも言われているので、結果を出すには時間を要することを理解しておきましょう。
戦略をデザインできる幅
「戦略のデザイン性」という面でも大きな違いがあります。
コンテンツで戦略を立てる場合、商品購入への導線を引けるとしても1つか2つで、工夫できるポイントが少ないでしょう。
コーナーごとに置かれているポップや試食販売といったアクションをし、1つの商品を売るといったようなものです。
しかし、オウンドメディアであれば、メルマガや企業の販売サイトなどのさまざまな成約手段が用意できるため、いろいろな方法でユーザーを誘導できます。
例えば「スーパー全体でカレー関連の売上を上げたい」とします。
カレーが食べたくなるようなポップをいろいろな場所に出し、野菜売り場ではじゃがいもやにんじんの詰め放題を、調味料売り場ではルーを、お肉コーナーでは牛肉を、冷凍食品売り場ではシーフードミックスを、といった感じにそれぞれを1番目立つ位置に置きます。
すると、普段よりも「今日の晩御飯はカレーにしようかな」と思う顧客が増える、といった感じです。
オウンドメディアでも、1つの大きな目標を軸に「この部分にはメルマガ登録のフォームにつながるボタンを置こう」や「人気のあるコンテンツが上にくるように設計しておこう」といった工夫をこらせることで、オウンドメディア全体で戦略を立てられます。
オウンドメディアを使ったマーケティングの注意点
オウンドメディアを使ったマーケティングの重要性が理解できたところで、次にマーケティングを行う際の注意点を知っておきましょう。
注意点は、以下の7つです。
すぐに辞めない
オウンドメディアで1番やってはいけないのが「すぐに辞めてしまう」ことです。
オウンドメディアを運用した結果が出るのには、たいてい「半年〜1年」と時間がかかります。
1ヶ月程度で結果が出ると思っているとすれば、ガッカリすることになりかねません。
オウンドメディアを始める際は、長期的な運用を想定しておきましょう。
ユーザーを蔑ろにしない
オウンドメディアで最も大切なのは「ユーザーのニーズに寄り添う」ことです。
企業や商品の自慢と捉えられるようなコンテンツばかりでは、ユーザーファーストなオウンドメディアとは言えません。
ユーザーの検索意図などを徹底的に調べ上げ、高品質かつ高価値なコンテンツを提供し、ユーザーの満足度をあげるようにしましょう。
ビジュアルコンテンツ(図や解説動画)を使ったり、他社が紹介していない独自のノウハウを載せたりすると、より効果的です。
SEOに最適化しよう
SEOとは、Search Engine Optimizationの略で、「検索エンジン(主にGoogle)に最適化する」ことを示した言葉です。
SEOに最適化することで、検索エンジンに評価され、検索上位を獲得できる可能性が高まります。
ユーザーファーストと矛盾しているように思えるかもしれませんが、本当に有益なコンテンツであれば、それがユーザーのニーズを解決する手段になります。
ブログやコラム、動画など、どれをメインのコンテンツにするかに関わらず、オウンドメディアで質の高いコンテンツを作り、SEOへの最適化を目指しましょう。
外部メディアを上手く使う
オウンドメディア単体で集客ができれば良いのですが、初期段階の評価されない期間であったり、競合のオウンドメディアが強かったりすればそうもいきません。
その時に重要なのが、SNSやプレスリリース、メールマガジンなどの外部メディアを使った集客です。
すでに固定のユーザーがいれば、オウンドメディアにスタート時から上手く集客できますし、まだオウンドメディアの存在に気づいていない層にも情報を届けられます。
自社オウンドメディアとの相性などを見極めながら、外部メディアを使っていきましょう。
目標をしっかりと決めておく
オウンドメディアで達成したい目標が定まっていないと、なんとなくの運用になってしまい、意味がありません。
- 販売サイトへ集客する
- メルマガの登録者を増やす
- オウンドメディア内で商品を購入してもらう
などの目標を、具体的な数値とともに設定しておきましょう。
社内体制を整えてからスタートする
オウンドメディアの運用体制を整えずに始めると、将来のチームを苦労させる原因になりかねません。
「社内体制を整える」とは
- 必要な人材の確保(コンテンツ作成者、デザイナー など)
- 具体的なスケジュールを立てる
- コンテンツ作成時のルールを作る
といったことです。
社内体制を整えておけば、コンテンツ制作だけに集中できます。
コンテンツ制作に100%の力を注げるように、オウンドメディアを始める際は、行き当たりばったりに進めるのではなく、社内体制を整えてから進めていきましょう。
コンテンツを公開して終わりにしない
オウンドメディアをマーケティングに活かすなら、コンテンツ公開後も注力しておかなければいけません。
オウンドメディアはデータの宝庫であり、マーケティングに活用できる情報が色々と手に入ります。
例えば
- 何歳くらいの人が訪問しているのか
- どこからコンテンツに流入があったのか
- どのコンテンツが見られ、どのコンテンツが見られていないのか
- コンテンツのどこでユーザーの離脱が起きているのか
といった情報です。
この情報があれば、広告を打つ際に適切な場所に集中して出せたり、効果がありそうな層に営業をかけられて労力の無駄を省いたりできます。
情報の集め方としては、ある程度時間を置いた後、分析ツールなどを用いてデータを解析します。
ヒートマップを使って部分ごとの効果測定をしたり、分析結果を基にPDCA(Plan:計画→D
o:行動→Check:結果を確認→Action:結果を踏まえて行動)サイクルを回したりしましょう。
マーケティングオートメーションとの掛け合わせでより良く!
ここまで、オウンドメディアを使ったマーケティングについて解説しましたが、より効果を発揮する方法があります。
それが「マーケティングオートメーション(以下、MAと省略)の併用」です。
こちらでは、MAや周辺用語との違いについて解説し、どう効果を発揮するのかを説明します。
MAとは?
MAとは「顧客情報の蓄積や収集・見込み客の育成・マーケティング施策の分析といったマーケティング活動の過程を一部、または全て自動化してくれるツール」です。
顧客数が100〜1000くらいであれば、エクセルなどを使った情報のまとめでも問題ありませんが、オウンドメディアで集客したい場合、その程度では満足できないでしょう。
MAを使えば、オウンドメディアを訪れた顧客が増えたとしても簡単に情報を管理できます。
顧客情報の管理に頭を悩ましている人にとって、助かるツールと言えるでしょう。
また、自動的に顧客へとアプローチしてくれるツールでもあるため、営業活動の負担を減らしてくれます。
例えば、「オウンドメディアを訪れたけれど商品購入に至らなかった」や「一度商品の購入があったけれど、再購入にはつながらなかった」といった顧客に限定して、メルマガなどを再度送るといった設定ができます。
営業など、オウンドメディアに付随したさまざまな手間を省くためにも、オウンドメディアマーケティング×MAの導入を検討しましょう。
MAとCRMの違い
CRMとは、Customer Relationship Managementの略で、簡単に言えば「企業と顧客の関係性を管理するツール」です。
顧客に関するデータ(名前・所属企業・役職・どの媒体からの訪問か など)を一括で管理し、営業活動の土台となってくれます。
管理という面では同じ特徴を持っていますが、MAは簡易な営業(顧客教育 など)を自動化してくれるという点で大きく違います。
MAとSFAの違い
SFAとは、Sales Force Automationの略で、営業の開始〜受注までをサポート/管理する営業支援システムです。
MAはマーケティング活動全般を支援するものなので、対象とする範囲が異なります。
まとめ
本記事では、オウンドメディアを使ったマーケティングをする重要性やコンテンツマーケティングとの違いなどを解説しました。
マーケティングにおいて、他社との差別化や広告費の適正化といった点で大きな意味を持つのがオウンドメディアです。
そして、MAを一緒に使うことで効果が増します。
ぜひオウンドメディアを使ったマーケティングを学んで、作業の効率化を図りましょう。