さまざまな目的を達成するために重要なツール「オウンドメディア」。
採用面でも、オウンドメディアを使用することで大きな効果があります。
本記事では
- 採用面でオウンドメディアが注目される理由
- 採用オウンドメディアを運営するメリットとデメリット
- 採用オウンドメディアの始め方
- 採用オウンドメディアの成功事例3選
について解説します。
採用オウンドメディアをまだ始めたことがない企業はもちろん、既存の採用オウンドメディアの運用方法に悩んでいる人の参考にもなるので、ぜひ最後まで読んでみてください!
目次
採用オウンドメディアが注目される4つの理由
オウンドメディアが採用面で注目されるようになった理由には、現代の社会における要因、「マスメディアの効果が薄くなった」「情報が多すぎる社会」「転職市場の活発化」「仕事に対する価値観の変化」の4つが大きく関わっています。
マスメディアの効果が薄くなった
影響が大きかったテレビや新聞などの宣伝効果は、昔よりも弱まっています。
求職者がテレビを持たない、あるいは新聞を読まない世代へと変化しつつあるためです。
マスメディアに代わる媒体としてオウンドメディアが使われるようになってきました。
情報が多すぎる社会
「すべての国民が発信者となれる社会になったことで、情報がありふれすぎている」というのも理由の1つです。
情報が多すぎると、それらすべてに目を通すことはできないため、ユーザーが取捨選択する必要があります。
そのため、オウンドメディアを使って特定のユーザーが求めている情報を正確にリーチさせなければいけません。
転職市場の活発化
近年では、1つの企業に勤め上げるのではなく、転職してスキルアップしていくのが当たり前になってきました。
そのため、有力な人材をいかに確保するのかが大切で、新卒だけでなく中途採用の人にもリーチすることが重要になっています。
仕事に対する価値観の変化
「仕事に対する価値観が変化している」というのも注目される理由の1つです。
仕事に対する価値観が多様化したことで、ニーズもバリエーション豊かになり、ただ採用情報を載せているだけではユーザーを集められなくなっています。
そのため、コンテンツによって自社の価値観を伝えることができるオウンドメディアが関心を集めています。
採用オウンドメディアを運営するメリット
採用オウンドメディアを運営するメリットは以下の4つです。
届けたい人に情報が届けられる
オウンドメディアは、架空のユーザー像(ペルソナ)を定めて、その人に向けたコンテンツを作成するものです。
そのため、自社が求める人物像をペルソナにしておけば、理想とするユーザーを集められ、望まないユーザーが訪れることを防げます。
結果として、採用のミスマッチを減らし、離職率を低下させたり足りない部署に必要な人材を確保できたりします。
他者との差別化が可能
オウンドメディアは、日々の継続によって結果が出るものです。
週1本でもコンテンツを投稿し続ければ、1年で約52本ものコンテンツが積み上げられ、数年続ければ膨大な数に増えていきます。
それだけのコンテンツがあれば、他社の採用オウンドメディアとの差別化がしやすくなり、簡単に真似されないメディアを作ることができます。
自社のブランディングにつながる
コンテンツを作るためには、自社が伝えたいメッセージの抽出をしなければいけません。
そのため、自社の独自性や強み、コンセプトなどをリスト化し、1つのメッセージにする作業が必要です。
1本化されたメッセージは確立されたブランドイメージにつながり、ユーザーに印象付けできるでしょう。
インナーブランディングが促進される
インナーブランディングとは「企業に関わる人々(社員や株主など)に企業が持っている理念やブランド価値を浸透させる」ことです。
企業の規模が大きくなるにつれて、他の部署がどのような仕事をしているのかは伝わりづらくなりがちです。
採用オウンドメディアは、応募者をメインの対象としていますが、社内の人々が企業についてより詳しく知るきっかけにもなりえます。
今自社が取り組んでいることは何なのか、将来の目標はどこにあるのかなどを定期的なコンテンツによって伝えることで、企業に対する自身の理解が深まります。
特に各部署の社員や経営者が仕事への思いを答えるインタビューなどは効果があるでしょう。
採用オウンドメディアを運営するデメリット
採用オウンドメディアを運営することにはデメリットもあります。
即効性はない
「求人に応募してくれる人を増やしたい」という思いから運営を始めても、すぐに結果が出るわけではありません。
最低でも3ヶ月〜半年以上の運用が必要です。
「3月に採用活動がスタートするから2月頃に開始すればいいか」というような気持ちではなく、じっくり時間をかけて取り組むようにしましょう。
継続運用が難しい
狙うジャンルにもよりますが、採用オウンドメディアは、コンテンツを継続して発信しづらいことが多々あります。
キーワードが少ないため、コンテンツに関するアイデアが枯渇し、元となる材料がなくなるからです。
アイデアを思いついたらストックするクセをつけ、企業として伝えたいメッセージがぶれないコンテンツを地道に作っていきましょう。
採用オウンドメディアの始め方の手順
上記では採用オウンドメディアのメリット・デメリットを紹介しましたが、実際に始めるためにはどのような手順を踏めば良いのか不安な人も多いでしょう
そのような人のために、こちらでは採用オウンドメディアを始める際の進め方を解説します。
オウンドメディアの作り方はこちらの記事で紹介しているので、一緒に確認してみてください。
1.ペルソナを決める
採用オウンドメディアを始める第1歩は「ペルソナの決定」です。
多くの企業では、新卒で採用することを目的とするため、対象となるのは20〜22歳の大学生(インターンなども含む)がほとんどでしょう。
しかし、20〜22歳の大学生をペルソナとしてしまうと、届けたい範囲が広すぎてコンテンツ作りの軸がぼんやりとしてしまいます。
オウンドメディアで大切なのは「ペルソナをできる限り絞る」ことです。
そのため、「どのようなスキルを持っているのか」や「将来的にどのような人生プランがあるのか」などの詳細部分を決めて、ペルソナを絞っていきます。
2.伝えたいメッセージを決める
ペルソナがはっきりとしたら、その人物像に伝えたいメッセージを決めましょう。
ペルソナに寄り添うことは大切ですが、企業として伝えたい発信の軸になるメッセージは持っておかなければいけません。
「どのような思いで日々の活動をしているのか」といったことを抜き出し、企業側からユーザーに届けたいメッセージを1つ決めておきましょう。
3.オウンドメディア内で必要な要素を抽出
伝えたいメッセージが決まったら、オウンドメディア内に必要なものと不要なものを取捨選択しましょう。
採用を目的として運用するため、
- 仕事内容
- 給与
- 福利厚生
- 価値観
は載せておくべきでしょう。(別で採用サイトを運営する場合は載せなくてもOK)
そのほかにも、採用の応募をオウンドメディア内、採用サイト、他の媒体(就活プラットフォームなど)のどれで行うのかによって、応募フォームを設けるか否かが変わります。
また、企業としてイメージしてもらいたい雰囲気があるなら、メディア全体の色などのデザイン面にもこだわらなければいけません。
詰め込みすぎると伝えたいメッセージが分かりにくくなってしまうので、バランスを考えて設計しましょう。
4.コンテンツを考える
どのような採用オウンドメディアを作るかが決まったら、コンテンツを作り始めます。
例としては、
- 社員インタビュー
- 製品やサービスに込められた思い
- 社内制度に関する情報
- 経営者の思い
などが挙げられます。
上記のようなものがあれば、ただ採用の要項や新商品の情報を載せる企業サイトや採用サイトに比べて、企業への親しみやすさを感じますよね。
採用に応募しようか迷っている人の背中を、そっと押すようなコンテンツを目指しましょう。
具体例
こちらでは、上記の流れをもとに架空の採用オウンドメディアを想定した例を紹介します。
ペルソナを「企業に所属した後に起業したい人」に定めたとしましょう。
企業として伝えたいメッセージは「自社から広い世界へと旅立つ人を輩出したい」のようなものになるはずです。
つまり、オウンドメディアを構成する要素としては「この企業に入れば、将来起業したときに役立つ情報や人脈が手に入りますよ」といった過去の実績や業務内容の記載が必要です。
この場合、コンテンツとしては「実際に起業した人へのインタビュー」や「会社に所属してから企業するメリット10選」などがあればペルソナに興味を持ってもらえるでしょう。
採用オウンドメディアの成功事例3選
こちらでは、採用オウンドメディアをうまく活用している企業を3つあげて紹介します。
どの企業の取り組みも参考になるものばかりなので、ぜひチェックしてみてください!
OnLINE
「OnLINE」は、株式会社LINEが運営するオウンドメディアです。
「LINEでは、こうしてます」をメインメッセージに、LINEで働く社員へのインタビューや現在行っている事業の成長具合の報告などをコンテンツとして発信しています。
LINEを象徴する緑のデザインや別媒体への誘導の仕方などが参考になるでしょう。
キャリアハック
「キャリアハック」は、リクルート事業をメインとするエン・ジャパン株式会社が運営するオウンドメディアです。
さまざまな企業で働く人々のインタビューや対談をもとに、他では聞けない独自のコンテンツを発信しています。
転職事業も行っているため、新社会人や現役で働く世代もペルソナとしていて、オウンドメディアで中途の採用に力を入れていきたいという人には参考になるでしょう。
Cyber Agent Way
「Cyber Agent Way」は、株式会社サイバーエージェントが運営するオウンドメディアです。
就活生がなかなか聞きにくい「採用の基準」や「求める人物像」などが赤裸々に語られており、コンテンツに独自性がしっかりとあります。
オウンドメディア上部にコンテンツのカテゴリがまとめられており、それぞれにアクセスしやすいというデザインの特徴も参考にしやすいでしょう。
採用オウンドメディアを作る際のQ&A
ここまでを読んでもらえれば、採用オウンドメディアを作るには申し分ない知識がついたでしょう。
しかし、いくつかの疑問が残っている人もいるかと思います。
こちらでは、よくある疑問に答えていきます。
採用サイトとの違いは?
多くの人が疑問に思うのが、採用サイトとの違いでしょう。
それぞれのサイトは「役割」と「ユーザーの目的」が異なります。
採用サイトは採用者の窓口となる場所で、すでに企業に対して深い興味を持っている、もしくは応募しようと考えている人が訪れます。
つまり、置かれているコンテンツは、業務内容や賃金面などの必要最低限でも問題ありません。
その一方で、採用オウンドメディアは、採用者の興味や関心を引くためのものなので、その企業が候補に上がっていない、または少しだけ興味を持っている人が訪れます。
そのため、コンテンツの質が高いものでなければ、その他多くのの企業と同じ扱いになってしまうでしょう。
中には、採用オウンドメディアと採用サイトの両方の特徴をあわせ持つものもあるため、区別するのが難しい場合もありますが、2つの間には上記のような違いがあります。
他のメディアとは分けて作るべき?
基本的には「分けて作るべき」です。
総合的なオウンドメディアに採用に関するコンテンツを置いたとしても、訪れたユーザーは何から見ればいいのか分からなくなります。
採用専門のオウンドメディアにすれば、ユーザーに「これは採用に関わることが知れるメディアなのだな」と伝えられます。
ただ、採用オウンドメディアを使って企業のブランディングを向上させたり、広い認知を得るという目的があったりすれば、コーポレートサイトの1部として導入するのも1つの手です。
「自社が目的としているのは何か」を考え抜き、それに沿った方法を選びましょう。
コンテンツを更新する頻度は?
望ましいペースとしては「週1本」の投稿です。
オウンドメディアは継続しなければはっきりとした効果が現れず、100本以上のコンテンツを積み上げてキチンとした評価がされはじめるとも言われています。
ただ1年で100本を超えるためには、週2本の更新が必要となるのでなかなか難しいでしょう。
社内のリソースにもよりますが、週1本の投稿であれば1年続ければ約50本、2年続ければ約100本のコンテンツが生み出せ、現実的に考えられるペースです。
ただ、採用オウンドメディアで求められるのは「量ではなく質」です。
コンテンツの質が担保できることを第1の条件にし、制作に慣れてくればペースをあげていくくらいの気持ちで取り組みましょう。
まとめ
本記事では、採用オウンドメディアについて解説しました。
一般的なオウンドメディアと少し異なり、採用オウンドメディアはより独自性が強く質の高いコンテンツが要求されるものです。
この記事をすべて読んでいただければ、採用オウンドメディアのメリット・デメリットを理解したうえで始められるでしょう。
ぜひ参考にしながら進めてみてください。