オウンドメディアを運営している、または運営しようとしている人の中には、「オウンドメディアは意味がない」という言葉をどこかで聞いて不安になっている人もいるのではないでしょうか。
心配しないでください。「意味がない」=「取り組むべきではない」ということではありません。
実際にその言葉が意味しているのは「間違った手順でオウンドメディアを運営してしまうと、費やした労力や費用が意味をなさなくなる」ということです。
本記事では
- オウンドメディアを運営する意味
- オウンドメディアがうまくいかない理由
- オウンドメディアをうまく運営する手順
を紹介しています。
この記事を読んで、少しでも失敗する確率を減らしましょう。
オウンドメディアを運営する意味
オウンドメディアを運営することには、大きな意味があります。
主に「消費行動の変化への対応」「広告費の削減」「他メディアとの親和性」という3点で意味を持つでしょう。
消費行動の変化についていける
スマートフォンの普及などにともなって、現在の消費者の行動は、世代関係なくネットで行われることが一般化しています。
ネット検索において、どの世代にも接触できるのはオウンドメディアです。
また、世の中に情報がありふれ、商品の質がある程度担保されたり、価格が同じようなものになったりしたことで、消費者の思考が「自分自身に関わりがある存在から購入したい」というものに変わってきた、という背景もあります。
オウンドメディアを持つことで、消費者に親近感を抱いてもらえ、商品を購入する際の検討候補となれるでしょう。
広告費を減らせる
オウンドメディアにかかる費用は、テレビCMやネット広告(ペイドメディア)に比べて安くすみます。
商品を売り出したばかりの段階で「多くの人に認知を広げたい」という目的であれば、ペイドメディアを使うことは有効です。
また、オウンドメディアの運営に携わる社員の給与などを考えれば、初期費用の面では大きな差はないかもしれません。
しかし、継続した運用の場合は大きく異なります。
初期と同じ金額を払い続けなければいけないペイドメディアに比べて、オウンドメディアにかかる費用はコンテンツの作成費くらいです。(大きな改修などを行う場合を除く)
他メディアとの親和性がよい
SNSや動画メディアとの親和性が良いのも、オウンドメディアを持つ魅力の1つです。
オウンドメディアは「初期段階ではコンテンツが伸びにくい」という特徴を持っています。
その時に、さまざまな人に広める手助けをしてくれるのが、SNSなどのメディアです。
ある程度フォロワーがいる状態でなければ広まらないので、事前に始めておくことをおすすめします。
さらに、SNSのような「書ける文章量が限られているメディアのコンテンツを深掘りできるのがオウンドメディア」という魅力もあります。
SNSは、伝えたいメッセージを1つ決めて簡潔に伝えるものです。
多くの人が抵抗感なく受け取れますが、全てのメッセージを伝えきるのは難しいでしょう。
「SNSでふんわりとしたメッセージを伝え、オウンドメディアで詳しく解説する」ようにすれば、メッセージに興味を持った人の受け皿としてオウンドメディアが活躍します。
オウンドメディアがうまくいかない10の理由
オウンドメディアを持つ意味が理解できたところで、次は意味を持たない(=うまくいかない)オウンドメディアになってしまう理由を知っておきましょう。
※ここでいうオウンドメディアは、主にブログやコラムを掲載するメディアを指しています。
ここでは代表的な10の例を挙げて、改善策とともに紹介していきます。
SEOを理解していない
SEOとは、Search Engine Optimizationの略で、Google検索のような検索エンジンで上位表示されるようにすることを指します。
検索で上位表示されることで、サイトを訪問するユーザーやページの閲覧数が増加し、本来の目的を達成しやすくなるため、SEOは非常に重要です。
SEOを理解したオウンドメディアを作るためには、2つの方法があります。
①外部の人材にSEO分野を担当してもらう
オウンドメディアにSEOを導入するためには、コンテンツを作成する人材としてSEOを理解したライターやディレクター、マーケッターを外部から入れるのが、もっとも簡単な方法です。
外部から人材を入れると費用はかかりますが、結果を出すまでの時間が短縮できます。
②SEOに詳しい社員の育成、または採用
長期的に見てメリットが大きいのが、SEOに詳しい人材を社内に入れるまたは育成することです。
社内の人材だけでオウンドメディアのSEOに関する部分を担えれば、①のような外注に使っていた費用を別の部分(アイキャッチのデザイン、サイトシステムのアップグレード、アプリの作成など)に使えます。
また、現在運営している、または運営を考えているオウンドメディアだけでなく、別ジャンルでオウンドメディアを立ち上げることになれば、その社員の能力が役立ちます。
SEOのシステムはたびたび変更されるため、常に注目しておきましょう。
社内の人員が足りていない
先ほどのSEOにも関連していますが、オウンドメディアに関わる社員の数や能力の部分でリソースが不足している場合も失敗する可能性が高いです。
オウンドメディアは、SEOだけでなく、サイト自体の設計や集客、商品購入に至るまでの導線作りなど、さまざまな要素が組みあわさって構成されています。
この要素に関する知識がある社員がいない場合、オウンドメディアの構築から分析という作業ができないため、意味のないオウンドメディアが出来上がってしまいます。
採用・教育・外部への業務委託などによって、知識のある人材を連れてきましょう。
また、オウンドメディアに割ける社員の人数が足りていないということも考えられるでしょう。
さまざまな要素が組み合わさったオウンドメディアは、1人の力だけで運営できるものではなく、社内でオウンドメディアに特化したチームを作る必要があります。
オウンドメディアに専念できる社内の人員を確保するようにしましょう。
運営する目的が定まっていない
運用する目的が曖昧であることも失敗の原因になります。
運営する目的は「オウンドメディアの核」となるものです。
オウンドメディアを運営する目的は、メディアのデザイン・コンテンツの種類・サイト設計などの全てに関係してきます。
- 採用への応募人数を増やす
- ECサイトへ送客し、売上を増やす
など、何か1つ目的を決め、どの作業段階においても「この作業は目的に合っているか」という意識を持つようにしましょう。
コンテンツの「質が低い」or「数が少ない」
オウンドメディアに載せるコンテンツの質が低かったり、載せている情報やコンテンツ数が少なかったりすればうまくいきません。
オウンドメディアのコンテンツは、八百屋さんでいえば「野菜」です。
あなたがお客さんなら、欲しい野菜が置いていなかったり、痛んだ野菜ばかりが置かれているお店には行きませんよね。
新鮮でバリエーション豊かな野菜が置かれたお店に行きたいはずです。
掲載されているコンテンツが「本当に必要なのか」や「適当な情報ばかりではないか」といったことに気を配りながらコンテンツを作るようにしましょう。
独自性がない
オウンドメディアのコンテンツは、競合のコンテンツと内容が似がちです。
あなたが持つオウンドメディアでも同じ内容ばかりを載せていれば、ユーザーにとって利益がなく、その他大勢のコンテンツとして扱われてしまいます。
そこで重要になるのが、オウンドメディアを運用している側が持っている独自の知識を入れた発信です。
しかし、この項目を見ている人の中には「競合のサイトに書きたい内容が全て取られてしまっていて、どうやって独自性を出せばいいの?」という疑問を持つ人もいるでしょう。
その場合は、書きたい内容に至ったあなたの経緯を教えてあげるように書けばいいんです。
例えば、あなたが「標準語を教えるオウンドメディア」を運営していたとしましょう。
この時に対象となるユーザーは、地方から関東に引っ越ししてきた新入生・新社会人などです。
しかし、地方と一括りにしていても、関西からやってきた人なのか、東北からやってきた人なのかによって、イントネーションや言葉の意味など、苦労するポイントが異なります。
あなたが関西から東京に出てきた人であれば、同じ状況の人の気持ちがよく分かるはずです。
結論が同じであったとしても、その結論を得るまでにした苦労や工夫は唯一無二の情報となるため、自然と独自性を出せます。
ユーザーのニーズを把握できていない
オウンドメディアで1番大切にしなければいけないのが「ユーザーのニーズ」です。
どんなに質の高いコンテンツを出しても、どれだけ魅力的なデザインがなされていても、そこにユーザーが求める情報がなければ、コンテンツを見てもらえなかったり、欲しい結果に結びつけられなかったりします。
あなたが、検索キーワードの「マッサージチェア おすすめ」で自社オウンドメディアを上位表示させたい、としましょう。
このとき、ユーザーが望んでいるのは「おすすめのマッサージチェアを教えてもらい、自分に合った商品を購入すること」です。
しかし、この検索キーワードで、あなたがおすすめのマッサージ屋さんを紹介していたら、ユーザーの欲しい情報は得られないため、あなたのオウンドメディアの良さは伝わりません。
今回の例は、分かりやすいユーザーのニーズとの相違ですが、実際はもっと複雑で隠れています。
検索キーワードに付随するキーワード(サジェストキーワード)や質問サイトでのお悩み相談など、さまざまな情報を基にユーザーのニーズはどこにあるのか把握しておきましょう。
伝える内容に一貫性がない
あなたのオウンドメディアの中で、1つのコンテンツ内、または複数のコンテンツの主張が矛盾していたり、ニュアンスの違いがあったりしませんか。
このような場合、ユーザーに「このオウンドメディアは信用できないな」や「このオウンドメディアがおすすめしている商品は大丈夫なのかな?」といった疑念や不安を抱かせかねません。
結果として、オウンドメディア全体の評価が下がり、有益なコンテンツを発信していたとしても見つけてもらえなくなります。
内容に一貫性があるかどうか注意しましょう。
コンテンツを発信する際は
- 1コンテンツにつき1つのメッセージ
- オウンドメディアのテーマに沿っているか
- テーマの変更が合った場合は、過去のコンテンツを見直す
ことを意識すると、内容のブレを防げます。
結果の分析をしていない
あなたのオウンドメディアでは、コンテンツを公開した後の結果を分析していますか。
「何人が訪れて、何人が商品の購入に至ったか」くらいは見ている人も多いでしょう。
しかし、「訪れたユーザーがどこで離脱しているのか」や「よく見られているポイントはどこなのか」といった細かい部分を分析している人はあまりいないのではないでしょうか。
オウンドメディアから得られる情報は、オウンドメディアだけでなくさまざまなマーケティングに活かせる貴重なものです。
コンテンツを公開したままではなく、時間(1ヶ月・3ヶ月・半年・1年など)ごとの集客効果・変更を加えたポイントの効果などを確認し、どのようなコンテンツがウケるのか知っておきましょう。
成果を急ぎすぎている
オウンドメディアは、初期の段階で結果が出にくいという特徴があります。
その知識がなく、「早く結果を出そう」と成果を急いでしまうと、良いコンテンツが生まれず、結果として良いオウンドメディアが作れません。
半年から1年ほどの、長期的な目線を持つことを忘れないようにしましょう。
早めの結果を求めているのであれば、リスティング広告やインターネット広告がおすすめです。
企業の公式サイトの中で運営している
こちらの項目は、必ず別サイトを用意しなければいけないというわけではありません。
公式サイトに知名度があったり、物を売っている感が薄いECサイトであったりすれば、問題なくオウンドメディアを組み込めます。
しかし、オウンドメディアで知名度を上げていきたいという段階であれば、公式サイトと一緒に運営することで、「最終的には、自社の商品をおすすめされるだけなんじゃないの?」のような、マイナスな感情を持たれかねません。
必要のない詮索をされないためにも、不安に思うのであれば別ドメインでオウンドメディアを立ち上げるようにしましょう。
オウンドメディアをうまく運営するための手順
上記の内容を踏まえて、オウンドメディアをうまく運営していくためには、以下のような手順で進めていきましょう。
①目的を決める
↓
②ターゲット(=ペルソナ)の設定
↓
③競合を分析する
↓
④社内と社外のリソースを確保する
↓
⑤コンテンツを作成する
↓
⑥結果を確認し、次のコンテンツに活かす
詳しい手順はこちらのページで解説しているので、詳細を知りたい人は覗いてみてください。
まとめ
本記事では、オウンドメディアを運営する意味とうまくいかないオウンドメディアの理由について紹介しました。
「オウンドメディアを運営することは意味がない」のではなく、「うまくいかない理由があるオウンドメディアを運営していると、労力や資金を使う意味がない」ということがよく理解できたのではないでしょうか。
この記事を確認した人の中には、「私の運営しているオウンドメディアでやってしまっている」と思ったポイントもあったでしょう。
現在オウンドメディアを運営中でうまくいっていない人は見直しながら、今から作成し始める人は該当しないように運用してみてください。